四将新報

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竜帝戦十番勝負、ついに決着!長きにわたる熱闘に終止符【ウィークリー四将vol.4_8/31-9/6】

 読者の皆さんこんにちは、四将新報編集部です。今週の四人将棋界は竜帝戦一色に染まりました!タイトル戦である第74期竜帝戦がついに決着。夏を通じて行われたあの戦いを、もう1度振り返っていきましょう!

 

竜帝戦十番勝負第7局、長期戦を中田初段が制する。

 第7局~第9局は、9月1日に3局通して行われました。3連戦の初戦は岸亜雷帝が低い陣形から積極的に中司竜帝を攻撃!竜を作るなど激しく攻めますが、中司竜帝も技を尽くして迎え撃ちます。その後はりゅう三段・中田初段も戦いに加わり、じっくりとした展開に。なかでもいち早く自玉を右に寄せた中田初段が安定した戦いを見せました。下家の岸亜雷帝の攻撃もしっかり受け止め、最後は岸亜雷帝を撃破し勝利しました。岸亜雷帝もりゅう三段・中司竜帝を破り3ptの獲得に成功しました。

 

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右端にじっと佇む中田玉。岸亜雷帝は中司竜帝と刺し違えることを選んだ。

第7局結果内容(218手まで)
1位中田正康初段(11pt)
2位岸亜双雷帝(9pt)
3位中司晃貴竜帝(15pt)←岸亜双雷帝
4位りゅう三段(1pt)←岸亜双雷帝
 日本四人将棋連盟公式ブログより抜粋

 

第8局、りゅう三段が強かに勝ち切る。

 第8局ではりゅう三段と中田初段が奇妙な共闘を演じます。本局でも先に戦端を開いた岸亜雷帝。歩を掠め取られ指しにくい展開になったりゅう三段でしたが、なんとかいなしつつ中司陣に迫ります。中田初段と共に挟撃に成功すると、竜・飛の猛攻で対面の中田陣にまで攻撃の手を差し伸べました。撃破こそ岸亜雷帝に譲ったものの、今度は中田初段の政略手に強く便乗!岸亜雷帝をどんどん追い詰めていきます。こちらも中田初段に撃破点を渡したりゅう三段でしたが、強かな指し回しで本局を制しています。

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中田初段の政略手に乗るりゅう三段。強い指し回し勝ちきった。

第8局結果内容(138手まで)
1位りゅう三段(4pt)
2位中田正康初段(12pt)
3位岸亜双雷帝(10pt)←中田初段
4位中司晃貴竜帝(14pt)←岸亜双雷帝
 日本四人将棋連盟公式ブログより抜粋

 

第9局、りゅう三段が連勝で望みを繋ぐ。

 本局も200手超えの大熱戦になりました。中司竜帝が下家のりゅう三段に攻撃して戦いがスタート。りゅう三段がカウンターに出て戦いは長期化します。中田初段も飛車を中央に繰り出し戦い始めますが、最後は挟撃形で中司竜帝を追い詰めます。その隙を逃さなかったのが岸亜雷帝。またも対面撃破に成功し、これで中司竜帝は2局連続の4位に沈みます。三つ巴になってからも長い攻防がありましたが、最後に戦いを制したのはりゅう三段。連勝で竜帝位への望みを繋げることに成功しました。

 

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本局で連勝を挙げたりゅう三段。シリーズは最終局を目前にして大混戦に。

第9局結果内容(211手まで)
1位りゅう三段(8pt)
2位中田正康初段(13pt)
3位岸亜双雷帝(11pt)←りゅう三段
4位中司晃貴竜帝(13pt)←岸亜双雷帝
 日本四人将棋連盟ブログより抜粋

  

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 第9局終了時の結果表は上の通り。第6局の時点で15ptを獲得し、大きくリードしていた中司竜帝でしたが、ここに来て中田初段に並ばれます。岸亜雷帝も着実にポイントを稼いで僅か2pt差の位置につけました。りゅう三段は第8局・第9局で怒涛の追い上げを見せました。5pt差は全員撃破ならギリギリ追いつける点差。この時点で竜帝位の行方が全くわからなくなりました!

 

第10局、新竜帝が誕生

 明くる9月2日に最終局が実施。中司竜帝が下家の中田初段と激しく衝突!防衛に向けて同点の中田初段へと猛攻を仕掛けます。しかし本シリーズで多用した早期の右辺脱出策を中田初段は本局でも採用。中司竜帝の攻撃をうまく緩和しながら反撃を続けます。岸亜雷帝・りゅう三段からも随所で攻撃を受けた中司竜帝は117手目にしてついに撃沈。七冠再独占が見えていた中司竜帝でしたが、無念の竜帝位失冠が決まります。

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追い詰められる中司玉。これで再び五冠に後退だ。

 三者による決戦は、まず岸亜雷帝が中田初段を撃破直前まで追い込みます。しかしそこからりゅう三段が岸亜玉に一気に介入。敵玉の安全度をコントロールするような指し回しを見せました。後がない中田初段もこれに追随し先に岸亜雷帝が撃破されます。一度は命をとりとめた中田初段。二枚飛車でりゅう三段に迫力ある攻撃を繰り出しますが、りゅう三段が中田玉の包囲に成功。全員撃破で最終局まで怒涛の追い上げを見せました。

 

第10局結果内容(187手まで)
1位りゅう三段(13pt)
2位中田正康初段(14pt)
3位岸亜双雷帝(11pt)←りゅう三段
4位中司晃貴竜帝(12pt)←りゅう三段
 日本四人将棋連盟ブログより抜粋

 

 りゅう三段は全員撃破で5ptの得点に成功して13ptまで伸ばしました。しかし2位にしがみついた中田初段が順位点の差で総合1位に!14pt-11ptと、1pt差ずつ4人が並ぶという史上稀に見る僅差で、中田正康初段が初タイトルとなる竜帝位を奪取しました。

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全10局の結果。激闘の痕跡が伺える。

中田正康新竜帝

 第74期竜帝の座を掴んだ中田新竜帝は、これがタイトル挑戦3回目。第73期棋帝戦・第74期棋帝戦ではいずれも中司棋帝の壁に跳ねのけられる結果となりましたが、ついに壁を打ち破りタイトル奪取となりました。中田新竜帝はタイトル1期獲得により四段への飛付昇段も決定。新たなタイトルホルダーの誕生は、中司五冠の再興時代とも言われる四人将棋界に風穴を開けることになるのでしょうか。これからの中田新竜帝にぜひ注目していきましょう!

 

おわりに

 竜帝戦が最大のトピックとなった今週の四人将棋界。一方で日本四人将棋連盟では次なる棋戦に向けて準備が進行中!岸亜雷帝に中司五冠・あるきびと四段・やきそば初段が挑む第74期雷帝戦七番勝負は9月15日に開幕予定です。

 また、日本四人将棋連盟は昨日9月6日に第71期天帝戦・ランキング戦の開催を発表!

blog.goo.ne.jp
 独自の勝ち抜き方式で行われる「ランキング戦」を経て、12月頃にはついに最高峰タイトルの1つである天帝戦が実施されるとのこと。連盟への新規入会による棋戦参加も受付中ということですので、こちらにもまた新風が吹くかもしれませんね!

 次なる戦いの場はすぐそこに。次週はランキング戦がスタートすればその模様をお伝えしたいと思います。今回もお読みいただきありがとうございました!!