四将新報

日本四人将棋連盟の棋戦情報・観戦記を中心に、四人将棋の情報をピックアップ!※管理人個人の趣味による更新のため、更新頻度には難があります。ごゆるりとお楽しみ下さい。

【自戦記】第7期四将マスターズ予選B卓#1─大会参加と第1局─

 第7期四将マスターズの予選が進行中だ。予選B卓にはタイトルホルダーの岸亜雷帝と、天GAMI初段が登場。そこに大会初参加の筆者(やきそば)を加えた3名+CPUで争われた。どのような戦いが行われたのか、筆者の自戦記をお楽しみ頂きたい。

※こちらは、筆者(管理人)がnoteに投稿したものを再編集したものです。

 

 

 

 

四人将棋との出会い

 そもそも四人将棋を知ったのはいつだっただろうか。10年以上前、小学生高学年の頃にWikipediaで将棋関連のページを読み、変則将棋や古将棋に興味を持ったことはよく覚えている。その当時はノートに大局将棋の駒の効きを書き並べ、給食の牛乳キャップを集めて駒を作り、実際に対局しようと躍起になったこともあった。さすがに大局将棋は実現しなかったが、集めた牛乳キャップ達は中将棋の駒として休み時間に活躍をしてくれた。というか休み時間に中将棋を指す小学生なんてそうそういないんじゃ・・・?話が幾分逸れてしまったが、その頃には四人将棋があるということ、現行ルールの他に「こち亀」で考案されたルールがあるということは知っていた。


 それから本格的に将棋を趣味にするようになったのが6年程前のこと。電王戦がきっかけでニコ生の中継を見るようになり、将棋ファンになった。その間にネットを通じて遊ぶことが増えたが、その過程でブラウザゲームを遊べるSDINさんの存在を知っていた。ネット経由の友人とはTRPGブラウザゲームで遊ぶのが常だったが、将棋に興味のある人はいなかったので四人将棋は1,2回指した程度で、一人で野良対局に潜ることもなかった。


 詳細は全く覚えていないが、日本四人将棋連盟の存在を知ったは2016年頃だっただろうか。当時はSNSもまともに運用していなかったので、連盟のサイトを見て「四人将棋にも団体があるんだなぁ」と思った記憶がある。ニコニコ超会議の「超四人将棋」を見たときには既に連盟を知っており、あのサイトの団体の人だ!と驚いたのをはっきり覚えている。なので超会議以前には連盟の事を知っていたはずだ。


 それからさらに時間は流れ、昨年になって連盟の方とTwitter上での将棋大会で指す機会があった。これが再び四人将棋に興味を持つきっかけとなった。春を迎えようとする2月末、実際に四人将棋を指してみようと思い立ち、その後棋戦に参加させていただく機会を得たのである。連盟に入ってみたいという気持ちも強いのだが、四人将棋は始めたばかり。いきなり連盟入りするのもどうかと迷った。ただ、四将マスターズは連盟外の人にも参加資格がある棋戦ということだった。外部の立場から言うべきことではないかもしれないが、アマチュア枠から参加する人が多い方が面白そうだとも思った。長考の末、まずはアマチュアの身分で参加しようと決めた。

 

脳内作戦会議

 

 組み合わせが決まって見てみると、そこには岸亜双雷帝と天GAMI初段の名前があった。天GAMI初段とは対局募集の折に参加したことがあったので、棋戦でも当たれるというのは少し嬉しかった。岸亜雷帝については──これは他の多くの連盟所属棋士の皆さんについて言えるが──、私は全く知らなかった。なんといっても連盟の動画を視聴するまで「岸・亜双」と区切って読んでいたくらいである。ご無礼を承知ながら読み間違えていた事実をここに白状しお詫び申し上げたい。ただ、タイトル保持者の強さは以前に体感した(具体的には中司会長の上家に座ってボッコボコにされた…凄かった...)ことがあったので、惨敗だけは回避しなければと思った。


 先に行われた予選A卓を観戦し、連盟の動画であるきびと四段の軽妙な解説を追う。りゅう三段の連続合い駒請求や、中司会長の2人同時寄せに驚愕しながらも、繰り広げられる熱戦に士気を高めていった。こちらもとても見ごたえのある対局なので、ぜひ日本四人将棋連盟のYoutubeチャンネルから視聴して頂きたい。(隙あらば宣伝)


 具体的な作戦を考え始めたのはA卓の対局を一通り見終わってからである。もともとは見た目の指しやすさと、直近の順位戦や皇帝戦で天守閣玉が採用されていたことから、自然と天守閣玉を構想の中心に据えていた。練習がてら何局か指したこともあったので、変に知らない形をやるよりは結果が出やすいのではないかというのが私の考えだ。ところが今回は事情が違う。予選は3名ずつ卓を囲み、もう1枠にCPUを交えて対局を行う。CPUの挙動次第ではおちおち玉を囲っている時間がなくなるではないか。また、CPUの撃破にどの程度リソースを割くのかということも悩ましかった。撃破点の欲しさから、「CPUの速攻撃破」「天GAMI初段との番い戦模様」「天GAMI初段と共同での岸亜雷帝撃破」のいずれかの展開に持ち込みたいなと考えているうちに対局当日を迎えた。正直に言えば2位狙いの作戦だった。

 

第1局 ~具体的な寄せはあったのか~

 
 対局前は少し緊張したが、対局開始の時には自然体に戻すことができていたと思う。1局目は対面に岸亜雷帝、上家に天GAMI初段。岸亜雷帝が先手となった。岸亜雷帝の5手目飛車回りで早くもパニックになり、天GAMI初段にまで飛車を回られてしまった。蠢く戦場を前にわけもわからず天守閣玉の形を仕上げるが、そのときには既に岸亜雷帝がCPUを撃破していた。早い、早すぎる。天GAMI初段と番い戦模様になるチャンスが、逆に猛攻に遭ってしまった。辛抱の時間が続くが、第1図の↑3三飛でチャンスが訪れる。

第1図

 

 岸亜雷帝が放ったこの飛車は天GAMI初段からの銀取りを牽制している。つまり間接的に私からの飛車取りが発生したのである。仕方のない飛車引きから、私は天GAMI陣へ反撃を始める。その間に自陣は岸亜雷帝によって荒らされていくのだが、それを受けている暇はない。撃破点が欲しくて仕方ないのだ。攻めが間に合えば右辺に逃げることだって叶うかもしれない。既にトップ狙いは厳しい局面だと考え、2位+撃破点で2ptを取るため、ひたすら攻めた。功を奏して天GAMI玉を詰ますことに成功する。
 しばらくして↓6四玉と歩頭に玉を構えて、すぐには詰まない形を確保する。これはちょっと元気の出る局面になった。難しいながらも岸亜玉に迫る手順があるのではないか?──ある種の期待が頭をよぎる。しかし読みがそれに追いつかない。どうも持ち駒の数が足りないような気がしてくるのだ。こちらも即詰みを狙える状況でないのは明白。私は迫りくる攻撃を尻目に敵陣に歩を垂らし、見つからない決め手を探しながら、第2図の局面に至った。

 

第2図

 

 図は岸亜雷帝が↑同銀と取ったところ。何か寄せがありそうだな!!ありそうだよね!!と悩みに悩む30秒(実際はもう数手前から悩んでる)。しかし↓同歩成↑同玉の形がどうも不安定に見えて仕方なかった。そのようにすすめば盤上に飛車一枚で持ち駒は金銀。対して岸亜玉は下段飛車がよく守ってるし、逆側には脱出ルートも見えそうだ。

 この辺りの自信の無さから、本譜は↓2七金とベッタリ打った。↑4九玉と冷静に引かれ、一手攻めが遠のいたように感じる。もしかしたらここからでも攻め筋はあったかもしれないが、いかんせん打った金が重たい。垂らしたからには歩の方を成りたいと↓7三歩成と手を続けるも、厳しく詰めろをかけられ最後はぴったり詰まされた。

 しかし、本当にこの辺りは何かありそうで手が見つからない。今になって自分で並べなおしてみるが、はっきりとした勝ちの手順を思いつけないでいる。6七の地点から脱出されてしまうような気がする。なお、今回は自分で振り返るためという意味もあって、あえてYoutubeに上がっている対局動画はチェックしていない。この辺りについても言及はあったかもしれないが、全シリーズを書き上げた後で、ゆっくりと視聴したいと思う次第だ。

 四人将棋とは言うが、やはり基本的には将棋の棋力は必要である。詰将棋と必死を勉強せねば、一騎打ちの勝負には簡単には勝てない。その事実を噛みしめる暇もなく、対局は第2局に進んでいった。(#2に続く)