四将新報

日本四人将棋連盟の棋戦情報・観戦記を中心に、四人将棋の情報をピックアップ!※管理人個人の趣味による更新のため、更新頻度には難があります。ごゆるりとお楽しみ下さい。

新星現る!王双戦をぞのみPさんが制す!【ウィークリー四将vol.10_10/12-10/18】

 こんにちは。四将新報編集部です。今週の四人将棋界は王双戦でにぎわいましたね。ダブルス個人戦という今までにないフィールドにおける戦いは、大会初参加のぞのみPさんが優勝。初参加初優勝ということで話題を呼びました。今回はそんな王双戦から、大会終盤に行われた5局の模様をピックアップしてお届けします!

 第10局 最長57手決戦!(中田・あるきびと○─×岸亜・沙久耶)

 10月13日に2局が実施。本局は「中田正康竜帝・あるきびと四段」vs「岸亜双雷帝・沙久耶さん」という組み合わせ。実力者が集う一局ということもあり、対局は非常に難解な勝負となりました。

f:id:yakiosba-yonsho:20201018133025p:plain

中田玉・沙久耶玉の両方が追い詰められる。息詰まる終盤戦だった。

 先に攻められたのは中田竜帝でしたが、上家の岸亜雷帝の攻めが来る前にと沙久耶玉への挟撃を遂行。沙久耶さんも負けじとあるきびと四段の攻撃を遅らせることで、岸亜雷帝の攻撃を間に合わせようと画策します。緊張感たっぷりの攻め合いは中田竜帝が逃げ切りに成功。あるきびと四段が沙久耶さんを詰まし上げ、決着となりました。

 

第11局 一瞬の攻略術!(中田・ぞのみP○─×あるきびと・みずにゅー)

 前局で沙久耶さんが負けたことにより、全勝者が消えた王双戦。逆転を狙うぞのみPさんとあるきびと四段の直接対決がここで実現しました。本局はぞのみPさんと中田竜帝が息ぴったりの攻撃を見せます。

f:id:yakiosba-yonsho:20201018134029p:plain

厳しい飛車切りの王手。これもダブルスゆえの強烈な一着。

 中田竜帝の上家攻略の棋風に合わせたぞのみPさん。みずにゅー初段に対する挟撃を選び、一気に攻略を試みます。あるきびと四段が中田竜帝の攻めを止めようと試みますが間に合わず。中田竜帝の飛車切りが決め手となり、手番を握ったぞのみPさんが一気に寄せ切りました!

 

第12局 ぞのみPさん、奇手に屈さず!(あるきびと・ぞのみP○─×高城・沙久耶)

 日を改めて10月15日。第12局から最終第14局までが行われました。この時点で優勝候補は沙久耶さん、ぞのみPさん、あるきびと四段、やきそば初段の4人に絞られました。4人中3人がぶつかった本局は、さながら優勝決定戦の様相を呈していました。

f:id:yakiosba-yonsho:20201018134712p:plain

タダの銀が2つぶつかる衝撃の構想。しかしぞのみPさんは倒れなかった。

 対局開始早々に動いたのは高城初段。ぞのみPさんに対していきなり銀をぶつけると、歩調を合わせた沙久耶さんもぞのみ陣へと銀を突入。この攻めがしばらく繋がってぞのみPさんがピンチか!と思われました。ですがその間に着々と攻めを繋いだのがあるきびと四段。ぞのみPさんもしっかり攻めを受けきり、奇策を跳ねのけました。

 

第13局 辛勝も同点優勝の夢が散る(やきそば・みずにゅー○─×あるきびと・沙久耶)

 第12局が終わって、ぞのみPさんが優勝の最有力候補。一方でやきそば初段・あるきびと四段にはそれぞれ自身の優勝条件が残されていました。そんな両者の直接対決となった本局もまた、優勝争いを決定づける重要な一局でした。

f:id:yakiosba-yonsho:20201018135351p:plain

やきそば初段は苦心の金打ち。なんとか命脈は保ったが・・・。

 やはり本局も沙久耶さんの浮き飛車作戦が炸裂。左右に揺さぶりをかけられ、やきそば初段が対応に追われたところでピンチに。やきそば初段は飛車切りから自陣に金を打ち付ける徹底防戦に出ます。これが功を奏したか、みずにゅー初段の攻撃が間に合ったやきそば・みずにゅーペア。みずにゅー初段による撃破で決着となりました。

 

第14局 最終局もやはり短期決戦(あるきびと・やきそば○─×高城・みずにゅー)

 最終局は優勝を争ったあるきびと四段・やきそば初段がタッグを組むことに。(なお、この時点でぞのみPさんが撃破差での優勝を決めていました。)本局もダブルスらしい短期決戦の戦いが見られました。

f:id:yakiosba-yonsho:20201018140631p:plain

みずにゅー初段決死の救援手。しかし本局は速攻が間に合った。

 序盤からペースをつかんだやきそば・あるきびとペア。高城初段へ挟撃をもちかけると、飛車を活かして一気に攻め潰しを狙います。対して防戦に苦しむ高城初段でしたが、みずにゅー初段も銀を放り込んで受けに回るなど懸命な防衛戦に。ですがここは挟撃の速度が上回り、最後はあるきびと四段が高城玉を詰まし上げました。

 

王双戦総括と来週の四人将棋界

 ご覧のとおり、多くの対局が30手未満で決着となる超短期決戦の「ダブルス」でしたが、1局1局が非常に緊張感ある戦いとなりました。相手に合わせる棋風のぞのみPさん、沙久耶さんがペアの意図を組んで大会を有利に進めたのも非常に印象的でしたね。新規勢がいきなり大活躍というのも、四人将棋ならでは。王双戦は今後も継続開催が決まりましたが、これからしばらくはシングルスの棋戦が続くことになりそうです。そちらでも新たな波が起こるかもしれません!

 さて、今週はダブルスで大きな話題が巻き起こった四人将棋界でしたが、来週にもビッグな戦いが待っています。まずはランキング戦が本日18日(日)に実施予定となっています。中司天帝への挑戦権争いもいよいよクライマックス。注目が集まります。

 そして20日(火)には第74期雷帝戦の第4局以降が行われるとのこと。ポイント制の七番勝負(7局指し切り)で行われる雷帝戦はいよいよ折り返し。スケジュール次第では一気に決着もありそうです。大一番がつづく四人将棋界。その結末はぜひ次回のウィークー四将でもお楽しみください!!今週もお読みいただきありがとうございました!