四将新報

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全員撃破連発!!盤上の大決戦!!【第6期達人戦勝手にダイジェスト#1】

 こんにちは、四将新報編集部です。今回は「勝手にダイジェスト」シリーズ第2弾。撃破の祭典、達人戦の模様をピックアップしていきます。第1回は4月29日に行われた4局の模様を見ていきましょう!

 ※対局の様子は日本四人将棋連盟のYoutubeチャンネルでご覧いただけます。ぜひそちらと併せてお楽しみください!

 

第1局 りゅう三段が見せたアシスト

 

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 「りゅう三段・中田正康初段・天GAMI初段・やきそばアマ」の組み合わせで行われた開幕局。都合により天GAMI初段がCPU代指しとなりましたが、そのCPUが序盤から大暴れ!

 

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 早々に敵陣に銀を打ち込むと、続けざまに飛車を成り込むなどやりたい放題。この手の対応を巡ってやきそばアマと中田初段が開戦するのを尻目に、りゅう三段が落ち着いた指し回しでCPUを撃破します。

 続いて追い詰められたのはりゅう三段。中田初段が飛車銀を放ち攻勢に出ると、やきそばアマが割り打ちの銀を放ち加勢。二方向からの攻撃を受けてりゅう三段は窮地に陥ります。そして迎えた局面が第2図。

 

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追い詰められたりゅう三段が反撃を見せる

 ここで←4九飛がりゅう三段の決め手。タダの飛車捨てですが、↑同銀に→5八銀が痛い王手。↑3七玉→4九銀と手順に銀を取られた局面で手番はりゅう三段。続く←2六銀が決め手となり、中田初段は直後に撃破されました。対局自体は戦力差で優勢を維持したやきそばアマが2人撃破でトップをとったものの、りゅう三段の他者に働きかける四人将棋らしい一着が印象的な一局でした。

 

第1局の結果 100手まで (撃破1pt,全員撃破なら+2pt)

1位 やきそばアマ2pt(+2pt)
2位 りゅう三段1pt(+1pt)
3位 中田正康初段0pt(+0pt)
4位 天GAMI初段0pt(+0pt)

 

 

 

第2局 あるきびと四段が短期決戦を決める。

 

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 続いて行われたのは「岸亜双雷帝・あるきびと四段・りゅう三段・中田正康初段」による対局。序盤早々からりゅう三段が飛車を切って乱戦模様に。撃破を目指して全員が積極的に指しているのがわかりますね。

 

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 図の局面でりゅう三段は→9八飛と右辺の飛車を払いますが、構わず↓9三飛~↓9八飛成が気持ちいい成り込み。りゅう三段も簡単には倒れまいと抵抗し、すぐの詰みには至りませんでしたが、はっきりと優勢を築くことができました。

 その後対局は岸亜雷帝の政略手から中田初段が撃破され、あるきびと四段がりゅう三段を追い回し撃破。岸亜雷帝との一騎打ちになりますが、最後には岸亜雷帝の投了によりあるきびと四段が全員撃破で本棋戦1勝目を挙げました。

 

第2局の結果 86手まで (撃破1pt,全員撃破なら+2pt)

1位 あるきびと四段5pt(+5pt)
2位 岸亜双雷帝0pt(+0pt)
3位 りゅう三段1pt(+0pt)
4位 中田正康初段0pt(+0pt)

 

 

 

第3局 政略手から突然死!盤上の詰みは見逃さない!

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 第3局の組み合わせは「中司達人・岸亜双雷帝・あるきびと四段・やきそばアマ」。前回優勝者の中司六冠が待望の登場となりました。岸亜雷帝が浮き飛車から飛車を捌き、玉を前面に出る意欲的な構想を見せます。ですが対局は中盤の入口でやきそばアマにミスがあり均衡が崩ると、そのまま一気に寄せの局面に突入します。

 

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中司達人の手番。きれいな寄せを目指す一手がありました。

 図の局面はあるきびと四段が→3八飛成でやきそば陣を突破し、岸亜雷帝が玉を引いた局面。中司達人が選んだ手は←4六銀!この王手がスペースを作り出す盤上この一手の寄せでした。↑同歩に→4七金と打ちあるきびと四段がきっちり詰ませて撃破となりました。四人将棋は王手をかけると、その相手に手番が渡るというのが基本ルール。上家(左側)への王手は唯一追加手番のない王手と考えることもできます。やきそばアマに手番を渡さない迅速な寄せが光りました。

 対局は三つ巴になってから長い勝負に。混戦模様も自陣の安定度を高めた岸亜雷帝が一歩抜け出すと、199手目に中司達人にマジックであるきびと四段を撃破させます。その数手後には中司玉をも手中におさめ、岸亜雷帝が撃破1名ながら盤石の勝利を収めています。

 

第3局の結果 207手まで (撃破1pt,全員撃破なら+2pt)

1位 岸亜雷帝1pt(+1pt)
2位 中司達人1pt(+1pt)
3位 あるきびと四段6pt(+1pt)
4位 やきそばアマ2pt(+0pt)

 

 

 

第4局 岸亜雷帝が全員撃破!リードを広げる寄せを見よ。

 

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 第4局は「中司達人・岸亜雷帝・天GAMI初段・やきそばアマ」による対局。各家の攻撃が複雑に絡む序盤から岸亜雷帝が一歩抜け出し、対面の天GAMI初段を撃破。そのまま岸亜雷帝の勢いは留まることを知らず、そのまま中司達人に猛攻を仕掛け一気に追い詰めます。

 

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最短手数で詰ますことだけが正着ではない。

 本局のハイライトはこの局面。岸亜雷帝が中司達人を寄せに出ており、すでに大勢が決しています。しかしこれは四人将棋、ただ中司達人を詰ませるだけが目的ではありません。岸亜雷帝がやきそばアマとの一騎打ちに備え、四人将棋特有の手順を見せました。

 ↓4二同金に←同銀↓同玉←1二竜が寄せの呼吸。←同銀に代えて←5一竜と入れば↓5二合に←4二銀で中司玉は詰みですが、あえて合い駒請求の手筋がありました。中司達人に対応が委ねられますが、↓2二銀~↓3二飛と持ち駒を放出。大差で一騎打ちに入った岸亜雷帝は戦力差を十分に活かしてやきそばアマを包囲し、全員撃破を決めました。タイトルホルダーが大暴れした快勝譜と言えるでしょう。

 

第4局の結果 132手まで (撃破1pt,全員撃破なら+2pt)

1位 岸亜雷帝6pt(+5pt)
2位 やきそばアマ2pt(+0pt)
3位 中司達人1pt(+0pt)
4位 天GAMI初段0pt(+0pt)

 

 

 第4局まで終了して、岸亜雷帝とあるきびと四段が全員撃破を含む6ptで首位に立ちました。大会序盤から華々しい勝負が続いた達人戦、各棋士の積極的な指し回しは何度振り返ってもたまりません!次回は第5局~第8局の模様をお届けします。注目対局が目白押しですので、Stay Homeウィークに繰り広げられた激闘をどうぞお楽しみに!