四将新報

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【出場者インタビュー】第8期最強位戦が本日開幕!真の王者は誰の手に!?

 こんにちは、四将新報編集部です。今晩、第8期最強位戦が開幕します。現在の四人将棋界の総決算というべき決戦を迎えるにあたって、四将新報では出場者の皆さんにインタビューを実施しました!簡単なインタビューではありますが、大会への意気込みなどをお話頂きました。

 

 

最強位戦とは?

 今期で第8期を迎える最強位戦。今期は出場者枠を「各タイトル戦・棋戦の優勝者/日本四人将棋連盟の推薦」に絞り開催されることに。その条件によって選出された4名が三勝先取制の勝負に挑みます。

 三勝先取制はタイトル戦では旭帝戦などで実施例があるルールで、ポイント制とは違いトップに立つことのみが勝敗基準となります。直近まで開催されていた達人戦とは毛色の違う戦いがみられることでしょう!

 インタビューに当たっては質問状に回答頂く形式で行いましたが、対談風に編集させて頂きました。質問・回答の内容に変更はございません。4人全員に共通した質問と、個別のものがありますので、じっくりとお読み頂ければと思います!

 

 

りゅう新人王(三段)

 

 一人目は若手有望株の一人ともいうべきりゅう新人王。今期は新人王戦優勝を果たして最強位戦への出場権を得ました。強敵を相手にどのように立ち向かっていくのでしょうか。インタビューでは力強い言葉を見せてくれました。

 

 

──新人王戦優勝を受けての参加ですが、改めて最近の棋戦を振り返ってみていかがでしょうか。

りゅう新人王「ここ最近、特に2020年に入ってからは、各棋戦での成績はいい数字が以前より出てきているとは思いますが、まだまだ足りないとは思っています。

──具体的に強化していきたい部分などはありますか?

りゅう新人王「中盤のねじり合いを強化したいですね。

──今期の最強位戦はポイント制を採用しない三勝先取制ですが、戦い方に違いは出てくるでしょうか?

りゅう新人王「特にありません。普段からトップを狙う指し回しを意識しています。

達人戦では参加棋士最多となるトップ四回を記録したりゅう新人王。
本大会でもその立ち回りには注目です。

──対局相手となる三人の印象を教えて下さい。

りゅう新人王「 中司最強位は言わずもがな最強ですね(笑)。ただ、中司さんとはそこまで相性が悪いわけではないような気がします。 岸亜双雷帝一番当たりたくない相手(笑)。中盤以降の玉を固める展開になると完全に岸亜双さんペースなので、そうはさせたくないところ。 あるきびと達人は万能なイメージ。全体的に安定していて、どんな対局ルールでも対応できる柔軟な棋風でしょうか。

──タイトル経験者三人との戦いになります。強敵に立ち向かう上での工夫などはありますか?

りゅう新人王「自分の力を出すだけです。

──最後に最強位戦に向けての意気込みをお願いします!

りゅう新人王「百折不撓の心で頑張りたいと思います!」

──りゅう新人王、ありがとうございました!

 一言サラりと「自分の力を出すだけ」と語ったりゅう新人王。タイトル経験者との戦いにおいてもその実力をいかんなく発揮することでしょう。長期戦模様となった場合の岸亜雷帝とのねじりあいにも注目ですね!

 

 

 

岸亜双 雷帝

 

 続いては岸亜双雷帝です。過去の最強位戦でも優勝経験があるベテランで、今シーズンには最高段位である九段に昇段しました。雷帝戦で並み居る強豪を打ち破り久しぶりの戴冠。それにより最強位戦出場となりました。2期ぶりの優勝を目指します。

 

 

──2年ぶりの最強位戦にタイトルホルダーとして参戦ですが、最近の棋戦を振り返ってみていかがでしょうか?

岸亜雷帝最近の成績は、最終局を決めきれずに二位、二位、二位。悔しくないわけないです。
雷帝位獲得後、皇帝戦、四将マスターズ、達人戦のいずれも二位の成績。
普段は明るい岸亜雷帝ですが、悔しさを滲ませながら静かに闘志を燃やします。

──対局相手となる三人それぞれの印象を教えて下さい。

岸亜雷帝中司さんは、マリオですね。王道な指し回しで成果を出しており、勝負強くもあります。 あるきびとさんは、ピーチですね。常に冷静な指し手で、盤石な印象です。 りゅうさんは、キノピオですね。妙手がよく見えている印象です。 でも、おいら負けないよ。

──打倒天守閣玉を掲げるなか、一方で浮き飛車が流行の兆しを見せています。戦法に関する構想はなにかありますか?

岸亜雷帝浮き飛車は研究の進んでいない形なので、どんどん実践例を作っていきたいですね! 天守閣玉を葬る(意気で)、天守閣玉党を追いやる(意気で)、丁寧に攻略していきます。

流行にとらわれない独特な棋風を持つ岸亜雷帝
特に対天守閣玉に対してはひときわ強い思いがある一方、必要があれば天守閣玉を採用するなど強かな一面も。

──今期の最強位戦はポイント制を採用しない三勝先取制ですが、戦い方に違いは出てくるでしょうか?

岸亜雷帝達人戦では持ち駒の補充に翻弄しましたが、最強位戦では牽制に従事できると思います。どちらにせよ、勝つのみです。

──「牽制に従事できる」とのことですが、牽制を中心にした指し回しが岸亜さんにとって力の出やすい展開ということでしょうか?

岸亜雷帝仰る通りです。 誰かの戦力の突出を許さずに、最後は得意の粘りでじわじわ詰めていく戦いにしたいです。

──最後に最強位戦に向けての意気込みをお願いします!

岸亜雷帝今期も選抜いただけたので、しっかりタイトルを獲っていきます!

──岸亜雷帝、ありがとうございました!

 ゲームキャラに例えた分析など、軽快な語りを見せてくれた岸亜雷帝。しかし誰にも負けない闘志が言葉からは伺えます。駒達が躍動する四人将棋を見せてくれるでしょうか、本棋戦でも活躍に期待です!

 

 

 

中司晃貴最強位(帝王・天帝・棋帝・竜帝・皇帝・旭帝)

 

 三人目は中司最強位。前回優勝者枠からの参加ですが、最近では皇帝奪取による六冠復位、四将マスターズ優勝など第一人者として君臨する姿に変わりはありません。ただ最近は不調を感じるところもある様子。今回は達人戦についても振り返っていただきました。

 

 

──六冠復位・四将マスターズ優勝とトップ健在を示しての参加ですが、最近の棋戦を振り返ってみていかがでしょうか?

中司最強位「他の棋士のレベルも上がってきており、中々勝つのが大変になってきている状況でその様な結果を残せたのは恵まれてたかもしれません。達人戦においては、消化不良って感じでしたのでね…」

2020年に入ってから、周囲のレベルアップに関する発言が増えている中司最強位。
長年第一人者として戦ってきたからこそ見える変化のなかで、中司最強位も勝負に挑みます。

──達人戦の復活と同様に、最強位戦も2年ぶりの開催です。四人将棋という競技に変化はあったでしょうか?

中司最強位「やはり達人戦は撃破重視という事で、1人撃破で1位になるのはそこまでの価値がないので、やはり撃破出来そうなところは撃破していくという感じで、鬼の様な指し回しが必要になりました。」

──対局相手となる三人の印象を教えて下さい。

中司最強位「岸亜双雷帝は昔から戦ってきているので、手の内は知っていますが、やはり一騎討ちに向けての準備が凄いなと思います。圧倒的な守りになってることが多いですからね。 あるきびと達人は四人将棋の基本を忠実に指している印象です。だからこそ安定した強さがあるのかなと。 りゅう新人王は若干政略チックなとこがありますが、それでも孤軍寄りと考えてます。なので、上家に座られたらしっかりと守りもしないといけないなと考えてます。」

──今期の最強位戦はポイント制を採用しない三勝先取制ですが、戦い方に違いは出てくるでしょうか?

中司最強位「やはりより一層の慎重さが出てくるかと思います。なのでいつもの私なら過激に攻めますが、そうではなくなると思いますね。」

──最後に最強位戦に向けての意気込みをお願いします!

中司最強位「最強位戦はその年の最強者達が集まり、そしてその中で更に最強を決めるという大会です。ここでしっかり勝って、どんな競技ルールでも私は強いんだということを証明したいです!」

 日本四人将棋連盟会長として、棋戦の魅力についても語ってくれた中司最強位。まさしく最強の立場にありながらも、決して奢ることなく真剣に対局に臨みます。最強位戦では撃破だけではない、マクロな読みの入った立ち回りに注目していきましょう!

 

 

あるきびと達人(四段)

 

 最後はあるきびと達人です。あるきびと達人は直近の達人戦で堂々の優勝を果たし、最強位戦には前回に続いての参戦となりました。雷帝位を失い、皇帝戦では奪取ならずと成果が出なかったなかでの達人戦優勝。あるきびと達人は今回の勝負をどのように捉えているのでしょうか。

 

 


──達人戦優勝おめでとうございます。達人戦を振り返っていかがでしたか?

あるきびと達人「順位が殆ど評価されない大会にも関わらず、あまり内容に過激さは感じられず、淡々とした印象でした。
実際、短手数決戦が多かった達人戦においてもあるきびと達人の登場局は長手数の対局が多くを占めています。

──最強位戦も2年ぶりの開催となりました。前回はアマタイトル「竜神」位での出場です。当時と比べて棋風などに変化はありましたか?

あるきびと達人「あまり変わっていない気がします。言い換えれば進歩していないともいえます。

──今後四人将棋を指していく上で進歩、あるいは変化していきたいことは何かありますか?

あるきびと達人「新しい戦法を編み出すことです。

天守閣玉を中心に、色々な戦型を柔軟に指しこなすイメージのあるきびと達人。新戦法を編み出すという大きな目標を語ってくれました。

──対局相手となる三人の印象を教えて下さい。

あるきびと達人「中司さんは情け容赦ない撃破の人です。北風と太陽でいうところの北風タイプ。りゅうさんは容易に崩れず、チャンスが来れば逃さないネバネバタイプ。キシアさんはじっくりと自分に逆らいづらい状況をつくる人で、北風と太陽でいうところの太陽タイプです。

──最強位戦はポイント制を採用しない三勝先取制ですが、戦い方に違いは出てくるでしょうか?

あるきびと達人「教科書通りであればじっくりと指すものですが、達人戦が過激にならなかったので、最強位戦も案外いつも通りかもしれません。

──最後に最強位戦に向けての意気込みをお願いします!

あるきびと達人「他の3人はいつでもドカーンと爆発できるような実力者なので、自分が全く勝てずボロボロになってもしょうがないなぁと思っています。

──あるきびと達人、ありがとうございました!

 比喩を使いながらも、冷静に三人を分析するあるきびと達人。闘志を前面に出すわけはない、また消極的にも聞こえない不思議な言葉回しが印象的でした。「万能」「冷静」「安定」と他の三人から評価されるあるきびと達人。彼もまた間違いなく最強位戦のキーパーソンとなることでしょう!

 

 

 出場者の皆さんへのインタビューは以上になります!3勝先取、最大で9局に及ぶ熱戦は、本日5月18日の21時より第1局が行われる予定です。真の王者を決める戦い、じっくりと見届けていきましょう!!

(四将新報編集部)